横浜港、はしけ。海にも河童がいるんだね?河童からのお誘い、行こうかどうしようかな。

絵本「キミちゃんとかっぱのはなし」

作:神沢利子    絵:田畑精一

 

 

人に薦められて読んでみた、1977年出版の古い絵本。小さい女の子と河童のお話。

 

河童の絵本と言えば『おっきょちゃんとかっぱ』が有名だと思う。河童の子供に誘われて水の中にある河童の国に遊びに行ったおっきょちゃんが河童の祭の餅を一口食べるごとに人間界の事を忘れていき、河童世界で過ごす話。これを聞くとかなり恐い気もするが、絵本ではとっても楽しく河童世界が描かれていて、でも何か?と気掛かりになって。。。という傑作絵本。

 

『キミちゃんとかっぱのはなし』は船荷の積み下ろしの仕事をしている家庭の女の子キミちゃんが港で遊んでいたら、海に住んでる河童に出会って愉快なやりとりをする話。舞台は横浜。

 

河童は積み下ろしの時に海に落ちてしまったブツを自分のものにしてハイカラな暮らしをしていることをキミちゃんに自慢する。コーヒー、アスパラガスの缶詰なんかが70年代ではおしゃれ食品だったようだ。きゅうりだってピクルスにして食べてるとおしゃれぶりをさらに自慢。キミちゃんを家に遊びに来ない?と誘う。

 

キミちゃんが以前に海に落としてしまったビー玉を河童が自慢しているので、落ちてきたものを自分のものにしてるのか、何それ?と言い返すと、コーヒーがかなり貯まってきたからカフェを開くつもりとか言ってビジネス展開を考えていると告白。河童がちゃっかりしていて面白い。

 

その店にエスカレーターがないんなら行かないとノッてこないキミちゃん。河童はエスカレータのことをどうやら知らない。キミちゃんと河童のやりとりにリズム感があって楽しい。

 

急にエスカレーターって何?ってことなんだけど、キミちゃんは当時の新しい設備だったエスカレーターに憧れがあるようで、お父さんにエスカレーターのあるデパートに連れて行ってもらう。パタパタと折り畳まれていくのを観察するキミちゃん。完全にライドアトラクションとして見られているエスカレーター。

 

そこにハンチング帽に青いシャツ姿で変装した河童がすました顔で反対側のエスカレーターに乗ってくるっていう、絵面のパンチ力。河童顔そのまんま晒して、怪しさたっぷりで愉快。エスカレーターってどういうものだろ?って偵察に来たんだね。

 

その後キミちゃんは河童に会うことはない。河童はどうしたんだろう。どこかの町でエスカレーター付きカフェの開店に向けて頑張ってるんだろか。キミちゃんは訪ねてくれるかな。

 

艀(はしけ)だとか港の人的荷下ろしだとか、今はもう様変わりしているだろう横浜の港。キミちゃんは艀で父母と暮らす水上生活者。忙しくている父、母を側に感じつつ、艀で白い犬のおもちゃを話相手に一人遊びをするキミちゃん。のんびりしつつ、どこか哀愁を感じる。そこに河童。河童は母さんが側に来ると姿を消す。キミちゃんと河童ふたりだけの時間。河童は子供にしか見えないのかもしれないね。

 

ユーモアいっぱいの不思議時間をあなたも。

 

 

河童が好きです。こちらもよろしければ、どうぞ。

wolf-yo.hatenablog.com

 

 

↓応援ボタンです。よろしければ~