守一と故郷。
熊谷守一美術館 41周年展
2026年
熊谷守一の住居兼アトリエを美術館に改修。行ってみたいなと思ってはいたのだが、要町ってどこ?と遠いイメージがあった。池袋からメトロ副都心線でひとつ目の駅だった。住宅街にいきなりあって分かりづらい場所にあるとのことでグーグルマップを頼りに行く。要町駅からは熊谷守一美術館へ行く人々のために所々案内板が出ていた。最初の分かれ道、案内板とグーグルマップの道が別方向を指す。どっちへ行くか?と迷ったけど、住宅街でのグーグルマップは時々当てにならないんで、案内板を信じて進む。。。正解だったと思う。たぶん少しだけ遠回りしているっぽいけど、分かりやすさを優先していた様子。
突然!蟻んこ達がお出迎え。カタカナのクマガイモリカズの文字が元気いっぱい。

3階建てで上階は貸しギャラリーになっているということだけど、本展は熊谷守一美術館の41周年展とのことで、3階まで全て守一作品で埋まっていた。テーマが「守一と故郷。」岐阜県の付知(つけち)との関わりに焦点を当てていた。
付知で生まれた守一だが、幼い頃にその地を離れている。30代の5年間に故郷である付知の実家で暮らしたのだが、その間にはほとんど絵を描いていない。それでも可愛がっていた馬の姿や守一の中にある故郷の自然イメージが、その後の守一作品に感じられるのでは?という解説だった。
まずは、超シンプルな絵入れの『白い蝶』。ターコイズカラーの地色に白い蝶1羽。ちょん、ちょんと筆を数回置いただけのような白い蝶のシルエットが地色に映える。他には何も描かれていない。素っ気ないくらいの描き方なのに、白い蝶がゆらゆらと飛ぶ様がリアルに捉えられている。とても好きな絵だった。
とにかく色の組み合わせが独特。山々を描いた絵の数々は山の形が単純化され、守一独特の赤茶色の輪郭線で区切られて色と形違いの山々が区切られていく。
本展のメインビジュアルの山々。どうでしょう?この自由さ。惚れ惚れしますな。

山あいの岩場に人間がちらほらと歩く絵があった。題名の『露天風呂』を見て納得。裸の人々が岩場で湧き出る温泉を楽しんでいるのだった。山、岩、人間を同じ具合の重要度で並列して描いているようで、不思議なリズム感のある絵。
気に入ったのがいくつも。『柿』は丸盆に載せた枝付きのままの柿7つ。切った枝の切り口が白。その白がアクセントになって、地色の黄土色に盆の暗い色、その上に載る柿色との組み合わせが引き立っていた。柿のひとつだけが特に深い色で熟している。とても洒落た絵。
『桜』藤色の鳥ウソが1羽、満開の桜の傍らに。桜は白桃色の固まりで描かれて丸いシルエット。題名を見なければ、餅かな?と、これが桜だと守一以外わからないだろう。この対象の捉え方。それが面白くて、先に題名を見ないでおくとさらに楽しくなる。
『曼殊沙華』単純化された曼殊沙華の花と茎。茎は白。花が終わったのか、くにゃりとしたひとつの花の茎だけが黄緑色。その右に同じ黄緑色のもの。これは?よく見れば、デフォルメされたシンプルな線で描かれたカマキリ。面白い絵だ。
守一はちょうどいい大きさで持ち運ぶのにもいいしと、板に直接描くことが多かった。絵具の下に木の質感が感じられて、それが守一の軽快な構図と色合いにとても合う。
キャプションに守一の描いた年齢が添えられていた。守一は亡くなる97歳まで絵を描いていたのだが、作品群を連続して見ていたら、守一が80代でどんどん冴えていくのだった。どんどん削ぎ落され、ニクイばかりの色使いに楽しくなってくる。守一自身も絶対に描いていて楽しかったろうと思う。
絶筆の『アゲ羽蝶』。マットな黒で中央に堂々と描かれた黒アゲハ。力強い絵だ。
守一は生前、自分が皆から仙人と呼ばれて、何言ってんだ。と思ってたと言うんだけど、いえ、やっぱり仙人に見える。これだもんで。それにしても、いい写真だなぁ。

いたずらにチェロを弾いてみたりしたと。やっぱり仙人って言いたくなるなぁ。

入口にカフェあり。守一の娘で画家の熊谷榧の作品群が飾られていた。ミュージアムショップ併設。ひと休み。

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