「三國寮の人形たち」
三國万里子:著

ニットデザイナーの三國万里子さんがアンティークドールのために小さいニットを編んだり、洋服を縫ったり。その着せ替え世界がミニチュア雑貨と共に並ぶ。別の三國さんの本にちらりと載っていた小ぶりなアンティークドールの素朴な愛らしさが気になっていた。そんな人が多かったのか、人形だけの本が出版された。お手製服を着た人形の写真集にプチストーリーを添えて。
6体の人形は東京・西荻窪の女子寮に住まう。その名も三國寮。人形には出身国、年齢、日本での活動、好きなものなんかの設定がきっちりとあって、もちろん素敵な名前もついている。
寮の料理人の斉藤寅彦さん以外は皆別々の外国出身。日本の大学に通っている20代が多いけど、10歳の女の子もいて最年長は30歳の計5名。三國万里子さんは寮母となって、服を作ってあげているのだった。
フランス、リヨン出身のマドレーヌ(愛称ブーちゃん)は映画学科で昭和日本映画を研究していて『細雪』に感銘していたり、ロンドン出身のミシアは中央線沿線の店でみつかるヴィンテージ着物が好きで、購入費用の足しにするため高円寺のバーでバーテンダーのバイトをしているだとか、設定がめちゃ楽し気。
アンティークドールと言えば、人形の顔や手足部分が磁器で作られたビスクドール、ジュモーなどのいわゆるアンティークフランス人形のイメージ。フリフリのロマンティックなワンピースに塵除けのエプロン、髪にはリボンかボンネットを合わせた当時のガールの正装イメージ。
三國寮のアンティークドールも顔や手足は磁器や陶磁器で作られているようで、顔立ちもブーちゃんなんかはフランス人形の顔立ちに近いものがあるのだけど、睫毛ばっちりとは違って、結構さっぱり目の顔入れと思う。なんか惹かれる。大きさはドールハウスで人形遊びをするサイズ感の様子。フリフリ正装ももちろん似合うだろうけど、寮母の手作り服は西荻窪での生活に見合うように活動的な現代服。
着せ替えドールと言えばバービーなんかがあるけれど、彼女たちの着る服はまんまリアル人間の縮小版。三國寮の子達はちょっと違う。現代のリアリティがありつつ、人形らしい服を着ているのだ。そこが可愛い。スカートに大きめに刺繍が添えてあったり、柄模様が大胆な大柄だったり。なんか可愛い。これはリアル人間だとアホっぽくなるはずなんだけど、人形だと可愛さが増す。人形の服ならでは。
三國寮母の本職がニットデザイナーなので流石にニットが可愛くて、特に編んだソックスが可愛すぎる。皆でパジャマに合わせてざっくり編まれたニットソックスを履いていて冬の幸せの風情。
だいたい床にぺたんと寝たスタイルで撮影されているようだけど、たまに戸外に連れ出されたりすると、森の中で腰を下ろしたりする三國寮の子達がぐっとイキイキして可愛さがまた増す。
人形の他、ミニチュアの写真も多数あって、三國寮では人形世界ではお馴染みのプラスチック家具はあまり使わない様子。木製。拘りいっぱい。ちょくちょく出てくる磁器製と思われる猫達も可愛い。
可愛い、ばっかり言うとりますが。
エストニア出身で現在は絵本画家として三國寮を仕事場にしている薔薇色の丸いほっぺのアーニャ、高円寺でバーテンダーのバイトをしてるノーブルな顔立ちのミシアが気になった。
ミニチュア世界のお好きな方に。