「幕末土佐の天才絵師 絵金」
2025年

(絵金フライヤービジュアル)
尋常ならざる公式ビジュアルに心が乱されたら、サントリー美術館に走っていきましょう。
第1章では絵金の芝居絵屏風がずらりと並び、圧巻。会場最初に単独のガラススペースで飾られていた堂々の1枚に、まずは驚かされた。絵金=金蔵は狩野派の土佐藩御用絵師の下で修業した後、土佐藩家老の御用絵師だったのがトラブルがあって追い出されたことで、頼まれて芝居絵を描き始めた。ただの祭絵じゃない。上手過ぎるのだ。それを昼、夕方、蝋燭の灯りと三種類の光で順に見せてくれる。ドラマチックな画面がさらに幻想的になり、強烈に惹きつけられた。
愛憎劇。芝居の解説と人物相関図があったのだが、誰と誰がの繋がりが複雑で読んでもわからないくらい。それを絵で描き表す金蔵。毒があって、激しいストーリーを顔の表情のみならず、手、体の角度やらビシバシと捻りを入れて魅惑的にまとめ上げる。びっくりしてしまった。。。
次々と展示された絵金。大概が殺されたり、自害して、血。子供にも容赦しない。刺され、首だけにされ、おどろおどろしいのだが、人物のポーズがわざとらしいからか、これはお芝居であるとわかるのだ。だから、受け入れられる。これはお芝居です!と。怖さはない。大丈夫だ。しかし、お子様連れ注意。
階段を下りながら第2章へ。提灯いっぱい。ここはなんでしょか。

幕末土佐で活躍した絵師、絵金。本名は金蔵で愛称が”絵金さん”だったという。そのうちに金蔵のような絵を描く者も絵金と呼ばれ、絵金の描いた芝居絵屏風自体も絵金と呼ばれるようになり、現在に至る。
芝居絵。芝居のストーリーを1枚の絵に大胆に組み込み、それ1枚で楽しめるように描いている。屏風仕立てにして祭の際に飾る。
現在でも高知県の祭では絵金が飾られ、祭を盛り上げているということは知らなんだ。館内では絵金が飾られいる現在の祭の動画展示があった他、現地で絵金を観ているような気分になれる、祭のようなセットが組まれていて楽しい。高知の夏祭を模したこのスペースだけは写真撮影が可能。これらは金蔵の絵ではないようだ。
朝倉神社の祭礼を模した展示。参道に提灯のついた絵馬台が設えられ、1台につき裏表4点の芝居絵屏風が飾られる。来場者は下を通って両面を楽しむ。室内の灯りが調整され、昼間や夜の灯りの違いを表現。屏風絵なので1枚が大きい。

八王子宮の祭礼を模した、立派な屋根付きも。

それぞれの芝居のストーリー解説を読みながら進む。芝居ということで、結構なドラマチックストーリーばかり。かなり面白い。
命を助けられた狐が姫に化けて嫁入り。子供も産まれて家庭円満。が、本物の姫が現れて狐が化けていたことがバレた。狐の母ではあるが、子供はそれでも「おかあさ~ん」と母を求めている。人間の顔や手足の折れ具合がダイナミックで画面のドラマチックさを爆上げ。画面上には正体を現した狐の姿も見える。時間軸無視。1枚に色々と盛り込む。

多数展示の中、結構な割合で血みどろ惨劇場面が描かれていた。もう一度、お子様連れ注意!
捉えられ、縛られた母親。切腹する父親。これだけでもかなりなものだが、我が子の刀に父親は手を添え、己の首を斬り落とす!とんでもない事態を1枚の絵に大胆に配置。腹の腸が見えている。ぐえっ。

少な目だけど、笑わせも。
絶世の美女に横恋慕する男。これはいかんと、なんとかしようとした侍女は風呂上がりの素顔を男に見せて諦めさせようとするも、その姿を見た男はますます熱を上げることに。草陰から盗み見する男の口から大量のよだれが垂れる。笑わせてきた。血みどろの中にこういうのも交じらないとな。

驚きは続いた。高知では男の子の初節句に、絵金を門前に飾る風習が。それらが展示されていたのだが、初節句だろうと遠慮なし。血みどろ。。。どういう感覚?赤ん坊だからスルーできると思って?お子様注意!