人生の先輩に感服:100歳の知恵、ありがとう。白玉デザート作っちゃうよ。

「100歳の100の知恵」

   吉沢久子:著

 

 

100歳!

100歳の人の知恵を借りられるなんて素敵だと思い、もりもりと読んだ。見開き1ページにひとつの知恵が100個。

 

著者は夫が亡くなっていてお子さんもいないとのことで、100歳で一人暮らしをしている。出版社の事務の仕事に就いて働き始めたのが15歳の時。そこから執筆活動等100歳まで仕事を続けているというのだから。。。お見事でございます。

 

100歳にもなってくると筋力も下がってきて無駄な事はしなくなり、生活は簡素化するも味気ない暮らしは嫌なので、その塩梅を上手にして楽しく暮らす。

 

食のヒントで簡単な白玉デザートが紹介されていて、白玉に白蜜をかけて親戚の子供に食べさせたら大好評。大人にはショウガの搾り汁を加えてさっぱり美味しいと書かれていた。白玉が好きなのに自分で作りはしない不思議。実はかなり簡単に作れるので、著者の久子さんも作り方までは書いていない。

 

久子さんの代わりに、ここに記しておこう。

1.「白玉粉」なるものを買ってくる。スーパーの粉売り場に売っている。

2.水を加えて耳たぶくらいの柔らかさにまとめて、茹だったお湯に投げ入れる。

3.浮いてきたら、出来てる。念のため1分くらい待ったらすくって器に入れる。

簡単すぎる和菓子。材料は白玉粉と水のみ。素敵。

 

白蜜どうすんねん?ということだけど、それについては久子さんが記していた。白蜜ってとっても特別な感じの名前だけど、「1キロのグラニュー糖に2カップの水を加えて煮立て、少し煮詰めたもの。」と、その正体は砂糖と水なのだった。

 

1キロ分もいらんだろう、と思ったら「和え物やアイスコーヒー、アイスティーの甘味に便利なので、一年中作り置きしています。」ときた。固体のままだと溶けないから、シロップ、いや、白蜜にしておくのだね。

 

すぐに出来るものとして、夏の”駆けつけ一杯”レモンミント水。薄く輪切りにしたレモンとミントに水、氷ひとつを入れるだけ。生レモンはなかったけど、リキッドレモン瓶があったので早速試すと、とっても爽やかで最高に気に入った。今年の夏はこればっかり飲むことになりそう。

 

元々モヒート用、お茶用にミントは鉢植えでずっと育てている。ここ数年異常繁殖しているらしいカメムシ除けになるとも聞いた。今までカメムシが来ることなどなかったのに、去年急にカメムシが訪問していて、窓に卵を産み付けていきやがったのです。カメムシの卵って、丸い極小粒が菱形に整然と並んでいて、見た時エイリアンか何かの仕業みたいに恐ろし&とっても気持ちが悪かったっす。二度とごめんなので、鉢植えを去年カメムシを見掛けたあたりに移動したら、今年はまだ訪問を受けていない。ミントパワー頼む。

 

ミントはハーブ類の中でも生命力莫大でほおっておいてもぐんぐん育つので、おすすめ。蚊にも効くとも聞くけど、どうだろう、わからない。ミントは繁殖力が高いので、必ず単独の鉢に入れることを守りましょう。一緒の植物が全滅してしまうのだ。

 

食の話で盛り上がったけど、久子さんからの生きる知恵もたっぷり。なんせ100歳なので、満州事変13歳、終戦27歳、戦争で婚約者を亡くし、文芸評論家と30歳で結婚。大変な時期もあったけれど、大変だと思うと人はそこで立ち止まって前に進めなくなるから、とにかく目の前のことを片付けて笑ってすごせ、との知恵を伝授される。やみくもに大きな望みを持たずに、小さな幸せに気付けと。わかっちゃいるけど。。。の言葉でも100歳から聞くと説得力が違う。

 

久子さんはどんな小さな美しいものを見逃さないよう、ポケットに虫眼鏡をしのばせ、道端の雑草の花を愛でているという。日々の暮らしの中で小さな美しさをみつける、ささいな事が自分を楽しませ、生きる喜びになると。

 

そして嫌なことを忘れる訓練をしなさいとも。久子さんは自身の仕事と家事(夫は世代的にも一切家事をしない人だった)、夫の世話に姑の介護で身も心も疲れ切った時にはプチ家出をしていたという。突然ひとりで海に行ったり山に行ったり。ほんの2,3時間でも家出をして、また家に帰っていく。色々な感情が溜まってきた時に自身をリセットする手段として、時には嘘をついてまでひとりの時間を持って、自分を癒して気持ちがささくれ立たないようにしていた。

 

こういった久子さんの心持ちはストーリーで語られてはいなくて、100の知恵の中で垣間見えるだけで、押しつけがましくないのが軽やかでいい。簡単な知恵、でも楽に生きる真髄ってこういうことなのかなと思う。私はまだモリモリ出来る段階なので、もう少し欲望とか抑えないでいこうと思うけれど。

 

久子さんは101歳で亡くなられている。これは直前に書かれていることになるので、こんなにしゃっきりと暮らしの潤いを感じていたことが本当に素敵だなと人生の先輩に感服しきり。