
「ゼロ・ダーク・サーティ」とは軍事用語で深夜12時30分の事。10年に及ぶ執念でオサマ・ヴィン・ラディンを探し出し、殺害実行の時間を指している。実話を元に作られた。
実際のオサマ・ヴィン・ラディン殺害のニュースを聞いた時、911テロの首謀者とされてから長い年月が経っていたので、今?と些か驚いたことを覚えている。オサマ・ヴィン・ラディンの顔写真がいつも穏やかで優し気なので、悪人なの?と違和感を感じてしまうことも。
パキスタン支局に配属されたCIA分析官マヤ(ジェシカ・チャステイン)。ワシントンから着任早々、テロ組織の情報を引き出す為の拷問シーンから始まる。水責めしたり、飢えさたり。なかなか口を割らないので、拷問はハード化するしかないのだが、捕虜に対する拷問が問題となり、情報を得るのが難しくなるばかりでマヤのチームは行き詰っていく。
そんな折、偽りの情報が元でチームメンバーが爆死。。。偶々現場に居合わせなかったマヤは生き残った自分が911とメンバー爆死の弔いをすると捜査にのめり込むが、長い年月の経過によりCIA内でもオサマ・ヴィン・ラディンなんて追ってもしょうがないとマヤは上司から疎まれ始める。執念で食らいつくマヤのピリピリ感が画面から伝わってくる。臨場感溢れるストーリー展開で飽きさせない。
911直後は洞穴に潜んでいるとされていたオサマ・ヴィン・ラディンだが、各地に散らばる同志達と繋がりやすい街に潜伏していると考えたマヤは、堅牢な屋敷に潜んでいるとアタリを付け、深夜12時30分に作戦実行に入るのだった。
ただ、物語はCIA分析官マヤ側から描かれているので、パキスタンに潜伏しているオサマ・ヴィン・ラディン側からは全く別の見方になるに違いないことが透けてみえている。これは監督がそのように撮っていると思った。
屋敷に潜入した特殊部隊が、居合わせた家族らをマシンガンで撃ち殺していく。女、子供はこっちに来いとひとところに集めるも、彼らの叫び声が響き、居合わせた親族の女性が血の付いた寝巻のまま横たわる。死者が複数出る。その死体を死体袋に詰めて屋敷からステルスヘリで姿を消す米軍特殊部隊。死者を引きずった場所には血の跡。それをカメラはしかと映して、恐怖と家族を殺された者の悲壮をしっかりと漂わせているのだ。
作戦は成功した。マヤは軍機にひとりきりで乗り込み、パキスタンを離れる。「軍機を貸し切りなんて、大物なんだな」とパイロットに声を掛けられ、どこに行きたい?と聞かれるマヤ。どこへ行けばいいのか答えのないマヤは言葉を失い、静かに涙を流す。