独特な湿り気漂う韓国映画!ポン・ジュノ「殺人の追憶」

韓国映画殺人の追憶

 

監督・脚本:ポン・ジュノ

キャスト:

ソン・ガンホ

キム・サンギョン

パク・ヘイル

 

昔風刑事のソン・ガンホ(左)と今風刑事のキム・サンギョン(右)

 

※ネタバレを含みますので、ご注意ください。

 

韓国で実際にあった連続殺人事件をベースにしている。田舎道で女性がさらわれ死体で発見されるが、犯人がわからないままに次々と犠牲者が出る。

 

ソン・ガンホら昔風の地元刑事達に、ソウルから駆り出される今風の刑事キム・サンギョンも合わさって捜査に当たるが、昔風刑事らは暴力的な取り調べで出鱈目な自白を引き出すばかりで、この辺りは行き過ぎな取り調べを笑いにしている。容疑者を逆さ吊りにして質問中、昔風刑事達はその下でのん気に食事していたり。行き過ぎた取り調べは実際に韓国社会で問題になっていたらしい。

 

進まぬ捜査に次の犠牲者が出てしまうぞとのハラハラ感が続くのだが、その間ソン・ガンホ昔風刑事らがゆるい空気を撒き、しばし息をつかせてもくれるので強弱のバランスがいい。よく出来ているサスペンス映画と思う。

 

韓国映画は独特の湿り気があるものが多いと思う。ただ暗いとも違う、じとっとした感じ。嫌な実在感。映画なのに観た後しばらくじとっとした嫌な感じが続く。これも正しくそんな映画だった。

 

食事シーンが頻繁に出てくる。食事シーンでもじとっとしている。あー食べてる、食べてるという、生きるために食べてる感じ。なんなんだろう、ちょっと食べたいとかでなく本気で食べていて、体を動かすための熱量摂取、身体を機能させる源として体内に取り入れているような力強さ。食べるシーンが効果的に使われている。生身の人間っぽさが出るのかもしれない。

 

ざらりとした感触で終了。後味は良くないので注意。が、とても面白い映画。