未来への記憶 - 三島喜美代 ゴミアートと呼ばれるもの

三島喜美代   未来への記憶

@練馬区立美術館
2024年

前回、池上秀畝展で初めて練馬区立美術館に行き、そこで陶の空き缶や新聞紙のインスタレーションで知られる作家が次回展示だと知った。楽しみに待っていた。

 

段ボールはセラミック製。

 

三島喜美代。作家名は覚えていなかったが、うず高く積み上げられた新聞紙の隙間を入っていく作品を映像で見たことがあった。映像であっても、その圧倒的な質量に圧倒されたので実物を見てみたいと思っていた。残念ながら今回その作品はなかったが、新聞記事が転写されたレンガが床一面に敷き詰められた展示室があり、迫力。奥の方の記事は読むことはできないが、手前には日本のショッキングな新聞記事が直に読めるので、ゆっくりと歩きつつ目を凝らす。三島由紀夫切腹、戦時中とおぼしき記事、死の灰の文字、女性の立候補者300人台、作家がこれぞと選んでいる見出しが並ぶ。

喜美代さんが現在92才くらいでご健在と知る。インタビュー映像もあり、大阪弁で朗らかに話す姿は皆好きになってしまうと思う。

映像を見ていて閉館してしまった原美術館の庭で英字新聞がぐしゃっと展示されていたのを思い出した。原美術館の庭によく似合っていて、名前を見て、あ、日本の作家だと気付き、でもなぜか男性だと思っていた!

バナナや柑橘の段ボール類はポップな可愛さ。赤白ボーダーの紙袋群も。

ゴミ箱シリーズは3つも展示があり、ひとつは展示室前に直に置いてあるため、ほんとにゴミ箱みたいで楽しい。

そして!
空き缶に触れるコーナーがあったのが驚き&素敵で嬉しかった。持つとずっしりして、あー焼き物だね。と実感。喜美代さんが楽しい展示になるようにこうしてくれたのだろうか。ありがとう。

立体作品の他に初期のかっこいい平面コラージュも多数あり、写真なんかもあったりして、色々。

現代アートの現役というところが、もうなんとも。

 
公開期間中、6月19日に喜美代さんが逝去されました。喜美代さんの息吹きを感じつつ、たくさんの作品を見る機会があり、感謝。ご冥福をお祈りいたします。