ジブリアニメ「かぐや姫の物語」

日本最古の物語とされる『竹取物語』を和な雰囲気でアニメーション化。
『竹取物語』を読んだことはないが、かぐや姫のストーリーはもちろん知っている。お爺さんが光っている竹をみつけて、なんか変じゃね?と思っておもむろに竹をスパッと切ってみたら、中に女の子が入っていたという驚愕のオモロストーリー♪
その摩訶不思議をするっと受け入れ、家に帰ってお婆さんと共に子育てを始める夫婦。ふたりには子供がいなかったのだ。すくすく育ってかぐや姫と名付けられた女の子は超絶美人に成長。その美人っぷりがかなりな遠くまで噂で広まって、次々と貴族から求婚されることに。まだうら若いかぐや姫に対しておっちゃんばっかりの求婚者だからか、かぐや姫はどうも乗り気にならなくて、絶対に答がないと考えた奇問を求婚者に投げ掛けて、問いに答えられたら結婚するとかなんとか言ってやり過ごす。
そのうちにかぐや姫の噂が帝の所まで届いて、帝が興味津々で駆け付ける。かぐや姫に無理やりお触りして、キレたかぐや姫の不思議パワー炸裂。瞬間移動なんかしてみせて、スーパーパワーで帝を惑わせる。かぐや姫ったら、月に住んでた宇宙人だったのだ。
結局、かぐや姫は月に帰っていくよ、っていう皆が知ってるぶっ飛びストーリーを優しいタッチのアニメーションで見せるっていう試み。
観る前は退屈かな?と心配したけど、そもそもの原作がぶっ飛びオモロなんで、おっとりした雰囲気のアニメーションでもしっかりと観ることができたよ。
抑圧された女性がどうのとフェミ要素で語られている映画と後で知って、なるほど。とは思ったのだけど、そういうことより、とにかくなんじゃこりゃ?シーン多数で面白かった。真面目に観てなかったともいえるが。
最高にびっくりさせてもらったのが、帝。
アゴのデッサンおかしくて、どういうつもり?襟線の見間違え??とちょっと思考停止した。セリフが入ってこなかった。でも別角度でもデッサンおかしくて襟線じゃないみたいなので、あ、あれかな?近親婚によって極端なアゴの家系となっていたハプスブルク家みたいな?そういうことかな?なんて戸惑いながら観たのだけど、何の説明もないのでどういうつもりか調べてみたら、高畑勲監督が帝のキャラクターデザインについて「美男だけどーヶ所バランスを崩してみてはどうか。たとえばアゴとか」と言い放ったというんだ。ぶっ飛んでんな、高畑監督。
もう帝が登場するだけで、どういう??と目が釘付けになったから高畑勲監督の思い付きは強烈なフックとなってこの映画のインパクト3割増しくらいにしてるんじゃないかの。大当たりでしょう。
いきなりかぐや姫に抱きつく、お触り帝。ジブリ公式サイトに掲載の静止画ではアゴがかなり目立たない奇跡の1枚が紹介されていた!

アニメオリジナルキャラの捨丸(すてまる)兄ちゃん。幼馴染みの近所の兄ちゃんで、その顔立ちの整い方でこの人と恋仲になるんかな?感が溢れてたのだけど、お爺さんがまたも光る竹発見して、スパッと切ってみたら金がザクザク出てきたもんで、その財を元に都入りして贅沢暮しに移行。捨丸兄ちゃんとはもうそれっきりとなる。
で、お爺さんがザクザク金で屋敷を建てて、殿様みたいなスタイルで暮らし始めると、美人かぐや姫がいいとこの嫁さんに入れる可能性大で、こりゃいいわ!とちょっとおかしな方向に行き始める。最初は完全日本昔話的にほっこりしていた人物像だったお爺さんが段々おかしなことになっていくんだが、なぜかかぐや姫もはっきり嫌とか言わない。お婆さんもお爺さんいい加減にして!とか強い抗議無し。内庭で植物育てて茶を濁す。内心不満たらたらっぽいのに自ら行動しないで、自分を取り巻く環境、社会が悪いからとかで抑圧されっぱなしか?こんなんでフェミ映画認定って、甘過ぎない??
んで、姫は諦めモードに入っているのか、嫌とかどうしたいとか言わないままだからか、どうやら発狂しちゃったらしく、猛ダッシュで逃走したりして。道中、豪華な重ね着物を次々と脱ぎ捨て、下着一枚、髪ボサボサになって山を彷徨うかぐや姫。発狂中だからね。山中で炭焼きのおじさんに出会って「春が来る」的な言葉に深く感じ入り、今は冬期か?と納得するものがあったのか、猫かぶり状態でおとなしく都暮らしを続ける。心が死んだのか?
その後心を慰めようということか、お婆さんがかぐや姫を故郷の村に連れて行ったら捨丸兄ちゃんと再会。捨丸兄ちゃんとまともに話すのは子供の時以来なわけだけど、なぜだか捨丸兄ちゃん好き!と盛り上がってしまい、え、急にどした?とちょっと置いてけぼり。
でもかぐや姫は知らないおっちゃん達に会ったこともないのに美人って噂だけで言い寄られて気持ち悪いってなっていたので、子供の頃に優しくしてくれた捨丸兄ちゃんの方が何倍もいいね!となるのもまだ観てて分かるんだ。
対して、捨丸兄ちゃん。再会時に家族一行みたいにぞろぞろと歩いていて、どうも妻と幼子じゃない?の気配濃厚な中、「先に行ってて」とかぐや姫と捨丸兄ちゃんふたりになる。で、どうやらその場で空中SEX。なにーーー? 後で幼子に「とうちゃん」とか言われて、やっぱり妻子だったんだ。捨丸兄ちゃん、ヤバし。帰ってきた捨丸兄ちゃんを見る奥さんの表情もヤバし。
”捨丸”って名前、何?とは思ってたんだけど、偶然会ったばかりのかぐや姫に「一緒に逃げよう」なんて提案しちゃう捨丸兄ちゃんは巷では”妻子捨丸”と呼ばれていることを知り、笑う。いつものジブリアニメのノリで、顔立ちから善い人ポジションの捨丸兄ちゃんと思ってたからいけないんかな。出てくる男性陣がどいつもこいつもちょっといかん感じなのだが。やっぱりこれは抑圧された女性の困難さを表現したフェミ映画で、意識的にしょうもない男達の表現を盛り込んでいるのか?
途中、絵のタッチが劇的に変わってしまったのですが?と腕振り上げてから書きなぐって見ました的な墨汁感たっぷりの表現に急に切り替わったり、夢オチ?みたいなのが繰り返されたり、まぁ帝のアゴにしても、思い切ったアニメーションだなという感想。ジブリだけど子供が見ても面白くなさそうなので、大人向けなのでしょうか。終始毛筆書きみたいなタッチと控えめな彩色が珍しく、素敵なアニメーション表現を十分に楽しめたよ。
書きなぐりスピーディシーン。かぐや姫の荒れた心持ちとマッチ。

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