無計画ですぐに頓挫した銀行強盗立て籠もり。人質と野次馬が味方になってくれるからイケんじゃね?

狼たちの午後

 

 

実話を元にした、銀行強盗立て籠もり事件。ニューヨーク、ブルックリンの銀行に3人の銀行強盗が現れた。どうにも手慣れていない雰囲気のぐだぐだの3人。1人はやっぱり自分には無理、と早々と現場から去る。残ったソニーアル・パチーノ)とサル(ジョン・カザール)は行員に現金を袋に詰めろと命ずるが、現金回収があった後で行内の現金は僅か。最初から目論見が外れてしまう。しかも、すぐに銀行は警察に取り囲まれる。

 

こうなったら金はないけど逃げるしかないが、狙撃隊がスタンバイしている状態で逃げ道を塞がれているソニーは、外国行きの飛行機手配を人質となった行員達との交換条件に出すことに。

 

膠着状態が続く盛夏の午後、ぐだぐだ銀行強盗と人質達、地元警察、FBIの汗だくの交渉劇が始まる。

 

元となった事件が1972年、映画制作が1975年。今ならすぐに犯人射殺で解決しそうな事件だが、当時ではマイクロスコープも対処方法も確立していなかったのか、犯人のソニーは銀行のドアから何度も外の通りに出て、警察と対面で交渉をする。何かあったら室内にいるサルが人質を皆殺しすると脅してはいるが、それにしてものソニーの自由な振る舞いが物語を盛り上げる。

 

ドアの外に出たソニーは銃を構える警官の多さに「アッティカアッティカ!」と煽り出す。アッティカ刑務所での暴動で警官が銃を撃ちまくって被害が広がった事件をこの状況に結び付け、なぜだか銀行強盗犯の自分が被害者のような立ち位置に。野次馬達も一緒になって盛り上がり、段々とソニーはヒーロー扱いされていく。

 

ソニーの説得材料に警察は妻を連れてくる。バスローブ?、、、男?はい、男だ。男だけど教会で神父の元、きちんと結婚したと主張している。どうやら銀行強盗の理由にこの妻レオンの性転換手術の費用を工面する目的があったようだ。ソニーは普通に女性の妻も子供二人もいるのだけど、両方愛している様子。

 

マスコミが銀行前からテレビ生中継し、ゲイコミュニティの面々も銀行前に応援に駆け付ける。さらにヒーロー化していくソニーベトナム帰還兵だったりと様々な要素が詰め込まれている。

 

当人にそんな気はなかったけど、権力に対峙する象徴としてソニーを応援する野次馬達が集まってくる。

 

人質の行員達とどんどん馴染んでくる様子が面白い。最初こそ銃を向けられて怖がっていたけれど、あまりのぐだぐだぶりに行員から「思いついてやったの?計画あるの?」と半ば呆れられるくらいなので、ストックホルム症候群というよりも、素人感いっぱいの犯人ふたりに脅威を感じず、銃を使った敬礼の仕方を教わってみたり、渡航先はどこがいいか話したり、行員の女性陣が個性色々でコメディ要素多し。

 

ゴッドファーザー」シリーズで兄弟役だったふたり。ジョン・カザールは本作でも少しダメな感じの人物だけど、変にキレて発砲してしまいそうな危うさがあって、緊張感がもうひと盛りされている。

 

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