エッセイ「忙しい日でも、おなかは空く。」
平松 洋子

ごくごく簡単な料理が載っていたので、すぐに真似てみた。
唐辛子シュガーと題された、粉唐辛子と砂糖を混ぜたものをパイナップルにつけて食べるというもの。タイではポピュラーな食べ方のようだ。平松洋子の書きぶりが上手くて、どうしても試してみたくなった。
材料は中挽きの唐辛子と砂糖のみ。ふたつを混ぜるだけ、というもの。辛い物は得意ではないので、唐辛子の中挽きとはどの程度のものか検討がつかない。とにかく唐辛子と砂糖をより一体化させた方がいいのでは?と思い、ゴマ用のミニすり鉢を出してゴリゴリしてみた。そこに砂糖をぶち込み、白と赤の粒々が出来上がった。
パイナップルはたいてい常備されている。ここのところの物価高で果物の値段が爆上がりしているけれど、なぜかパイナップルだけはそうでもなくて、切るのさえ面倒でなければお買い得と思う。パイナップルは食べてみて甘くないというハズレもない気がする。
さて、パイナップル一切れの断面を出来上がったばかりの白と赤が盛られた小皿につけて食す。ハテナが出る。もう一度やってみる。わからない。パイナップル味に、ただ唐辛子と砂糖の味が加わる。もう一度。同じ。なんの一体感も驚きもない。ただ、それぞれの味を別々に感じるだけ。
パイナップルだけの方が好き。。。辛い物好きにしか分からない味覚なのかもしれない。
もうひとつ、かまぼこを手で3~4センチにちぎって味噌で食べるというもの。通常ミニまな板みたいなものの上からまっすぐ切り分けているのを、手でちぎるとまるで違う、一番うまい食べ方になるというんだから、これもまたすぐにやってみたい。
かまぼこと言えば、正月が近いとこれまた、かまぼこの値段が爆上がりする。通常サイズが店頭から消え、二回りほど大きい正月用のかまぼこ軍団に取って代わられる。そして普段数百円で売られているものが3倍くらいの価格となって堂々と棚に鎮座する。
お雑煮に入れるかまぼこなんて一切れ、二切れで、そんなに大きいサイズ要らないんです!おせちにも入ってるし。といつも便乗値上げだと思っていたのだが、ふと、あの大きいサイズって重箱に合わせたサイズなのか?と気付く。通常サイズだと、重箱の高さに満たなくて、ちんまりしてしまう。そうか、そうだったんだね、とかまぼこ販売事情に思いを致す。よし、さっそく買ってきて、手でちぎるぞい。