モロ師岡のひとりコント独演会:全部、新作だよ。

モロ師岡

新作ひとりコントネタおろしの会

ひとりコント全集

2024年

あさくさ劇亭

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(ナイス・スマイル!あさくさ劇亭さんの画像をお借りしています)

 

モロ師岡、新作ひとりコントの知らせ。

全て新作だと言う。ほんとか!ここのところは俳優業、落語に精を出していた様子なので、新作ひとりコントを単独公演するというのにビビって駆けつけた。

 

浅草の小さな劇場。30席くらいだろうか。舞台が地続きですぐそこ。なんだこのこじんまりとした空間は。小料理屋とかだったのか?の空間を改造したのかもしれない。演者が近くていいと思う。

 

モロ登場。稽古が煮詰まって(これでは面白くないんじゃ?と心配になって)2週間前に台本からやり直すことになったという。当人も不安だが、観客も同罪となるので心してくれ的なことを冒頭に訴えられる。当人もだけれど、観客もいたたまれなくなるかもしれないと。長年のモロファンを舐めちゃいかん。そんなことはモロのひとりコントで通常運転だろう。それも想定済みの姿勢で来ている。大丈夫だ。

 

新作揃いとのこと。ふむ、よい意味でいつもの感じだったが、内容には時事ネタを練り込んできていた。

 

病気の妻のためにホワイト案件に就く老人のコント。妻の介護でここ数年の時事ネタに疎くなり、沈みがちな気持ちを切り替えるためのポジティブシンキングでテレグラムの指示に素直に、果敢に挑んでいく。

 

若茶色の戦隊物全身タイツを着て町の安全のためにボランティア活動をする父親の話。茶摘みの踊りを唐突に披露して、その場を和ませる作戦を展開する。

 

等々。これらをモロひとりで演じていく。舞台から遠ざかっていたから声が出ないというネタがあったのだが、実際のモロも発声がきつくなっているのでしょう。舞台で声を出すって、結構なエネルギーが必要。65才になったそうだ。公演中何度も噛むモロ。本当に噛んでると思うが、モロの場合は本人のキャラと同化してそういうネタなんだろうと不思議に馴染んでしまう。モロマジックを見た。

 

次のコントの合間、着替えるのを舞台上で行うモロ。そうそう、デジャヴ。ひとりだから、いちいち舞台袖に引っ込むと場が冷めるのだ。最後の仕上がりチェックで手鏡を覗くモロ。笑わせるつもりのない、その姿で笑う観客がいる。モロマジック。

 

モロひとりコントでは大概しんみりコントが入る。というか、モロが演じるとしんみりフィルターが掛かる。何を演じても哀愁が漂って、いい具合になると涙出るかもみたいな哀愁コントが誕生する。人間って哀しい、だが愛おしいみたいな、もしかして裏に崇高なメッセージをしまい込んでいますか?みたいなネタが生まれる。それがモロ。だが、全部こういうネタだと面白くなくなるので苦労があると思う。他にこの人やばいぜネタが散りばめられてこその哀愁ネタだから。

 

今回はホワイト案件じいさんのネタがそんな風味だった。でも実際の事件が酷すぎるんで、じいさんの身の危険を案じて笑いが引きつってしまったよ。まだ事件が継続中だからホット案件過ぎるんだと思う。血しぶきを感じた。大立ち回りで駆け抜けていった。

 

後半の落語の師匠と弟子のネタで、モロが正座して落語をする場面があった。それまでいつものギリギリ限界モードでどうしよ、どうしよとやっているモロのうわずった口調から打って変わって、落ち着いた口調で噺を始めたモロに感心しきり。聞きやすい。。。声のトーン、口調が落語にとても合っている。私は落語に興味がないのでモロの落語を見に行ったりはしないのだけど、ずっと落語は続けているみたいなので納得。でも、ひとりコントは続けてほしい。

 

1時間半、あっという間の終演となった。会場が揺れるような大爆笑はないのだった。ふつふつと笑うのだった。隣ではゲラの人がずっと笑っているのだった。それがモロ公演なのだった。

 

あとさらに一押しどうか、と思う。ネタのストーリーは面白くて、頭でそれをなぞって楽しんでいる。本人の個性があってモロの演技もよい。ストーリーとモロに妙な不一致というか、ズレみたいなものが。これがモロ、なのか。もっと大爆笑の渦とかになってもよさそう。さらに一押し、どうでしょう。

望みすぎるファンってものは。。。稽古地獄だったと本人が言っているだろう。

 

まだまだひとりコントを作ってほしいので、モロのネタを他の人に演じさせてみるのはどうだろう?そして、別の人が作ったネタをモロが演じるのはどうだろう?爆発する!そしてまた全てモロで集約する!再爆発する!!

 

 

★あさくさ劇亭さんでは色々なタイプの公演をしているようです。

   12月8日はモロ奥様の楠三津香さんのひとりシェイクスピア公演も。

「木戸銭」という言葉を初めて知る。チケット代のこと。

浅草の路地にひっそり佇む、あさくさ劇亭。下町の雰囲気。

そっと出ている看板を目印に。