映画「レッド・オクトーバーを追え!」

冷戦時代のソ連軍下、潜水艦乗りの神と呼ばれるラミウス艦長(ショーン・コネリー)率いる潜水艦レッド・オクトーバーは演習のため出航した。
直後、ラミウス艦長は厳重に保管されていた命令書を焼却&ついでに一人殺害(!)。演習を行いながらキューバへ向かうと偽の命令を艦内に伝える。行き先がキューバと聞き、南国へのトリップに沸き立つ艦内の若い兵士達。これから演習が本気の攻撃戦へと転じることはまだ知らない。

同じ頃、アメリカ海軍はレッド・オクトーバーを感知し、潜水艦に精通するCIAのジャック・ライアン(アレック・ボールドウィン)が会議に参加していた。ソ連軍の目的はなんだ?ライアンはラミウス艦長は亡命する気ではないかと発するが、バカバカしいと一蹴される。
しかし、ライアンの見立て通り、その目的はアメリカへの亡命なのだった!ビ、ビンゴです。
命令と違う動きをするレッド・オクトーバー。ラミウス艦長の亡命の書簡も明らかとなり、ソ連軍とアメリカ軍双方から追われる形となった。しかし簡単には見つけられない。レッド・オクトーバーはアメリカ軍が実現していない、最新の超静音装置である「キャタピラー・ドライブ」搭載の最新式潜水艦なのだった。音が出ない、イコールどこにいるのかわからない。ここが肝ですな。わずかな音の動きを頼りにレッド・オクトーバーを追うことになる。
ソ連軍から撃墜の魚雷発射。演習だと思っている乗組員達に衝撃が走る。
「艦長、本物の魚雷を打ってきたのはなぜです!?」
演習で本気を出すはずがないと乗組員達が動揺し出す。可哀そうな気もする展開。自分がここにいたらヤダな。でも潜水艦内なので逃げ場なし。とりあえずは任務に専念しましょう。キューバのバカンスに浮ついた自分がぶっ飛ぶところ。
他にも問題が。キャタピラーに細工がしてあったことから、工作員がレッド・オクトーバーに乗り込んでいるようだ。事を急がなければ。
ジャック・ライアンの亡命説が確かか見定めるため、アメリカ軍の潜水艦にライアンは乗り込み、まさかの事態に備える。ラミウス艦長の亡命を手助けする引き換えにレッド・オクトーバーを米軍がいただいちゃおう作戦を展開していく。
乗組員を無事にレッド・オクトーバーから降ろすため、偽の放射能漏れを装い、乗組員達を救助ボートに逃がす。艦長含め、上官達は艦内に残って沈むことを選択すると言う。お国の為の自己犠牲の美しさに感銘を受け「レーニン賞を受賞されるでしょう。」と涙ぐんで別れを告げる乗組員達。ここは、その後に亡命するつもりとは知らずにレッド・オクトーバーの戦いを海上から見守る兵士達をほのぼのと笑うことになるのだが、小馬鹿にしているとも言える。
味方を欺くための作戦の他、敵からの予想外の展開も絡み、緊迫感が続く。これらがほぼ海、それも大半が潜水艦内なのが面白い。よくも単調にならずにエンターテイメントとして見せていると思う。魚雷が複数回レッド・オクトーバーに向かい海中を駆けるのだが、艦内にいる人間が腰砕け的にドワーンと影響を受けることがありありと、なんとも怖く表現されていて、ただの魚雷が魅力的に撮られていた。

今となっては大御所しかいない俳優陣が揃っていて、見応えたっぷり。

顔チラだけで雰囲気爆上がりのショーン・コネリーを筆頭に、貫禄がつく前の若さの残るアレック・ボールドウィン。目に煌めきが。

「羊たちの沈黙」で主人公クラリスを静かに支える知的な上司役が見事だったスコット・グレン。今作では冷静さと作戦実行の判断力を備えた良い役どころ。

「ジュラシックパーク」シリーズでお馴染みのサム・ニールはレッド・オクトーバーの副艦長役で大活躍。

色んな映画でしょっちゅう見掛けるジェームズ・アール・ジョーンズ。この人も画面に出るだけで重厚感が出つつ、コメディも嵌るので気になる俳優。今年お亡くなりになってしまった。合掌。

苦み走ってます!!
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